第16回(平成30年度)児童・生徒科学賞受賞校概要

○中学校の部 山梨学院中学校
 「パーソナルプロジェクトへの取り組み(一例として)二段式モデルロケットの作成と打ち上げ」

受賞者(山梨学院中学校)の写真

 山梨学院中学校では、1年生から3年生まで、パーソナルプロジェクトとして、各自で研究テーマを決め、1年間を通じて研究を進めている。生徒の中には、単年度の研究でなく、複数年でテーマに取り組む者もいる。12月には研究報告書を提出、1〜2月には、全員がクラス発表をし、優れた研究は学年発表・全校発表へと進んでいく。最優秀の生徒には校長賞が贈られる。
 一例として、現3年生の研究「二段式モデルロケットの作成と打ち上げ」を取り上げる。当該生徒は、1年生の頃より、モデルロケットをテーマに研究を続けてきた。1年生の時は、主に実際に打ち上げることのできるロケットを設計し、実際にエンジンとして火薬を使用して打ち上げることに成功した。2年生になると、更に改良を加えエンジンを2段式にして、打ち上げに成功した。この様子をビデオカメラで撮影し、全校生徒の前で発表した。3年生である今年度は、最高到達点に達したのち、パラシュートで戻ってくるようにすることや、カメラを搭載して、上昇中の様子を映像として記録することを目指して研究を続けている。


○高等学校の部 山梨県立甲府南高等学校 物質化学部
 「スズ酸化物の研究〜スズ酸化物とスズ酸化被膜の光触媒効果と親水性について〜」

受賞者(山梨県立甲府南高等学校)の写真

 山梨県立甲府南高等学校では、平成16年度から文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、現在は第4期をむかえ理数教育の更なる充実に力を入れている。その中の1つとして自然科学系の部活動、物質化学部、物理宇宙部、生命科学部、数理情報部の活動は、各部が県内外の研究発表大会、化学グランプリ、生物オリンピック、科学の甲子園への参加、小学校への出前講座、山梨県立科学館でのボランティアなど、科学を楽しみ、挑戦し、地域に貢献する活動を行っている。研究では、各部活動において多くの賞を受賞している。
 今回取り上げる研究は、平成28年度から取り組んできたものである。一般的な酸化チタンの光触媒効果は紫外線によってもたらされるが、スズ酸化物(四酸化三スズ)は可視光でも光触媒効果を持つ可能性がある。研究においてスズ酸化物の持つ光触媒効果を証明し、その後、継続的に研究する過程でスズ酸化皮膜がビーカー内壁に付着し、その酸化皮膜にも光触媒効果と親水性の性質があることを発見した。


○高等学校の部 山梨英和中学校・高等学校
 「多面体の研究」

受賞者(山梨英和中学校・高等学校)の写真

 山梨英和中学校・高等学校では、2017年度は正多角形を組み合わせることでできる多面体の数を計算において予想、実際に作成した。その結果、計算上では存在するが作成できないものがあった。
 2018年度は正四面体、正六面体、正八面体にフラクタル構造を持たせたとき、どのような多面体になるか実際に作成、その収束する体積の仮説を立てた。1つの作業によって増えていく立体の個数に着目し計算することにより検証した。結果として、正四面体は最初の正四面体の1辺を1面の対角線とする立方体に、また正八面体は最初の正八面体の対角線を一辺とする立方体に収束、仮説は支持された。正六面体は仮説とは異なったが、一定の値に収束した。正四面体、正六面体においては一度の作業で増える立体の個数を一般化することができ、その無限級数により計算を行った。正八面体においては囲む面で場合分けを行うことにより、漸化式を求め、計算ソフトを用いて検証した。