第19回(令和3年度)児童・生徒科学賞受賞校概要

〇 中学校部門 甲府市立城南中学校(科学部プログラミングチーム)
 「生徒のタイプ入力能力を高めるアプリの開発」

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  2021年5月に,全校生徒にコンピュータが導入された。将来的にレポートなどで自分の意見を伝えたり、企業でのプレゼンなどで自分を表現したりできるようになるためにも、早く正確な日本語入力が必要になると予想し、そのためにも、基礎的な日本語入力の練習をするアプリが必要と考え、開発することにした。アプリはプログラミングソフト「スクラッチ」を使って開発した。キーボードのアルファベットの文字配置を覚えられるアプリと、ローマ字を短い時間で繰り返し練習できるタイムアタック形式のアプリを作成した。完成したアプリをネット上に公開し、昨年全校生徒がコンピュータを使って、朝の会や放課後などの時間の中の10分程度でキーボード練習を行えるようにした。その中で新たな課題をみつけ、アプリの改善も行った。本校の800人以上の生徒が、入力練習に取り組み、入力速度を上げる手助けをすることができた。

 

〇 高校部門 山梨県立甲府南高等学校(3年5組2班)
  「治水システムの構築」

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 小学生の頃より地域で親しんできた「信玄堤」を参考に、河川の氾濫の一因である「流木の堆積」に着目し、課題の解決に挑んだ。
  本研究では、河川の模型を作成し、流木の誘導および回収実験を行った。当初は、「聖牛」の要領で流木を堤防へ誘導し、堤防を強化しようと試みたが、流木の誘導は困難であった。そこで、河川に分流を作り、流木を少しずつ回収するというモデルを目指した。様々な条件で実験を行った結果、河川に対し角度約30度の分流に、流木を誘導する柱を設置することで、流木の一部が分流に流れ込むことがわかった。さらに、分流の水路に、傾斜10度の網(下流側が河川の水面より低くなるように傾けた網)を複数設置することで、流木を少しずつ回収できることがわかった。今後は流木の種類や河川の環境についても研究し、深めていきたい。

 

○高校部門 山梨英和高等学校(自然科学部)
  「山梨県の陸水域に生息する水生ダニ相と水質評価」

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 県内に生息するミズダニ相のほぼすべての属数を明らかにし、採取したミズダニ属を新たな環境指標として位置付け、ミズダニ平均スコアと水生生物平均スコアを利用して県内水環境を評価する。
 方法は、県内の56河川214地点から採水し、理化学検査と水生生物調査を実施した。さらに環境省の日本版平均スコア法を基に河川の水生動物の平均スコアをミズダニ属に当てはめてスコアを付け、それを基準として水質を評価した。
  結果、水生生物の2綱15目64科(密度17/u)、ミズダニの15属(密度1.4/u)を採取し、環境省指定水生生物の44科、水生ダニ15属を捕獲同定することができ、調査地点の90%以上の水域が「きれい」と評価された。
  よって、水生ダニ類は「きれい〜きれいとは言えない」の4段階水域に「すみ分け」をしていて指標動物としての妥当性が示唆され、ミズダニを指標とした評価方法は山梨のきれいな水の評価に適していると考えた。